はじめに
ここ数年、台風は、毎年のようにわが国に襲来し、きわめて大きな災害をもたらしています。災害の激甚化といわれていますが、その中でも台風の脅威は、河川の増水、氾濫、土砂崩れ、交通網の断絶、農作物への被害、家屋の倒壊など多岐にわたり、その被害は、社会、地域のインフラを機能不全にすることのみならず、個人の財産や生命まで危険にさらしています。特に、最も被害が多いのが、私たちが住んでいる家の床上浸水、床下浸水、損壊、半壊、全壊です。
それでは過去の台風被害をみましょう。
下の表は、日本に大きな被害を与えた台風の例として、昭和に死者・行方不明者数が1,000人を超えたものと、平成になってから死者・行方不明者数が40人を超えたものを取り上げたものです。この表から、9月に来襲した台風が大きな被害をもたらしていることがわかります。これは、9月は8月に次いで上陸数、接近数が多いうえに、この頃には日本列島付近に秋雨前線があり、台風の東側をまわって前線に流れ込む湿った空気が前線の活動を活発化させて大雨を降らせる場合があることも関係しています。
台風名又は台風番号 |
人的 |
住家 |
上陸・最接近年月日 |
||||||
死者 |
行方 |
負傷者 |
全壊・ |
半壊 |
一部損壊 |
床上浸水 |
床下浸水 |
||
室戸台風 |
2,702 |
334 |
14,994 |
92,740 |
401,157 |
1934年9月21日 |
|||
枕崎台風 |
2,473 |
1,283 |
2,452 |
89,839 |
273,888 |
1945年9月17日 |
|||
カスリーン台風 |
1,077 |
853 |
1,547 |
9,298 |
384,743 |
1947年9月15日 |
|||
洞爺丸台風 |
1,361 |
400 |
1,601 |
8,396 |
21,771 |
177,375 |
17,569 |
85,964 |
1954年9月26日 |
狩野川台風 |
888 |
381 |
1,138 |
2,118 |
2,175 |
12,450 |
132,227 |
389,488 |
1958年9月26日 |
伊勢湾台風 |
4,697 |
401 |
38,921 |
40,838 |
113,052 |
680,075 |
157,858 |
205,753 |
1959年9月26日 |
平成2年台風19号 |
40 |
131 |
16,541 |
18,183 |
1990年9月19日 |
||||
平成3年台風19号 |
62 |
1,499 |
170,447 |
22,965 |
1991年9月27日 |
||||
平成5年台風13号 |
48 |
396 |
336 |
1,448 |
不詳 |
3,770 |
不詳 |
1993年9月3日 |
|
平成16年台風18号 |
43 |
3 |
1,399 |
144 |
1,506 |
63,343 |
1,328 |
19,758 |
2004年9月7日 |
平成16年台風23号 |
95 |
3 |
721 |
907 |
7,929 |
12,514 |
13,341 |
41,006 |
2004年10月20日 |
平成23年台風12号 |
82 |
16 |
113 |
379 |
3,159 |
470 |
5,500 |
16,594 |
2011年9月3日 |
平成25年台風26号 |
40 |
3 |
130 |
86 |
61 |
947 |
1,884 |
4,258 |
2013年10月16日 |
(理科年表、消防白書による)
上陸数が多い都道府県 |
||
順位 |
都道府県 |
上陸数 |
1 |
鹿児島県 |
41 |
2 |
高知県 |
26 |
3 |
和歌山県 |
24 |
4 |
静岡県 |
21 |
5 |
長崎県 |
17 |
※統計期間:1951年~2019年第29号まで。
(出典:気象庁ホームページ「台風の発生、接近、上陸、経路」)
また、上陸県をみると、比較的に西日本に集中していますが、近年の傾向を見ても、台風による記録的な被害は、西日本に限らず、全国各地で、年々増加しています。
それではまず、台風の強さと建物の関係を考えていきましょう。
台風の強さ
ニュースで、「平均風速」や「最大瞬間風速」という言葉を耳にすると思います。この「平均風速」とは、10分間の平均、「最大瞬間風速」は 3秒間の平均値である瞬間風速の最大値で、この値と被害の関係は表1のようになります。なお、平均風速に対して瞬間風速は 1.5倍~3倍程度になります。
【表1 風の強さと建物被害】
風の強さ |
平均風速 |
瞬間風速 |
建物の被害 |
やや強い風 |
10以上 |
20 |
樋(とい)が揺れ始める |
強い風 |
15以上 |
屋根瓦・屋根葺材がはがれるものがある |
|
30 |
|||
非常に強い風 |
20以上 |
屋根瓦・屋根葺材が飛散するものがある |
|
25以上 |
40 |
||
固定の不十分な金属屋根の葺材がめくれる |
|||
猛烈な風 |
30以上 |
50 |
|
35以上 |
外装材が広範囲にわたって飛散し、下地材が露出す |
||
40以上 |
60 |
||
住家で倒壊するものがある |
|||
※気象庁ホームぺージより引用
建物を建てる時の基準となる建築基準法では、過去の台風の記録に基づいて構造計算で用いる風速(基準風速)が 30m/s~46m/s の範囲で決められています。表1と見比べると、建築基準法では、瞬間風速で 40m/s~60m/s の猛烈な風を想定していることになります。これを地震対策でいう「耐震性能」と同じく、風対策でいう「耐風性能」という評価基準になります。耐風性能は、1,2という2つのランクがあり、耐風性能1はこの建築基準法レベルにあたります。耐風性能2は、その1.2倍の耐力を持つ基準です。竜巻のような異次元の強風は別として、風速50m、60mの風でも、建物そのものが飛ばされることはないようなレベルとなっています。
屋根や外壁が飛ぶ力の原理
台風によって強い風が吹くと家には、図2のように、大きく分けて 3つの力がかかります。
【図2 台風によって建物にかかる力】
① 屋根を持ち上げる力 ② 軒先を持ち上げる力 ③ 建物に横から(水平方向に)かかる力
主に、屋根が飛ぶ原因となる力は①と②で、外壁が飛んだり損傷する原因となる力は③となります。そして、飛散物によって窓ガラスが割れてしまうと、室内に風が吹き込み、この風が室内から屋根を持ち上げようとするため、屋根が飛んでしまう可能性が上がります。窓ガラスが割れない場合であっても、図2の〇で囲んだ軒と桁(梁)の留め付け部分には屋根を持ち上げようとする力がかかります。
それでは、これらを参考にしながら、住宅の風水害の事例を検証していきましょう。
浸水被害
床からの浸水
・半地下や地下室が設けられた居室の浸水
・前面道路より階段1,2段ほど下がった玄関などの浸水
・バリーアフリーの観点から、基礎を低くしている(ベタ基礎)住宅の浸水
※基礎とは建物の土台となる鉄筋コンクリートなどことで建物と地面のつなぎの部分を指します。
床下換気口からの浸水
バルコニーからの浸水
浸水原因
床からの浸水による事例は、人為的に低地を作っていることが原因です。半地下や地下室は都心部に多く、狭小敷地で居住空間を少しでも確保するために作ったものであり、前面道路よりも低い玄関はデザイン性を重視したからです。バリーアフリーとはいえ、昨今の水害で老人ホームや介護施設で大きな被害が出ているのは、このフラットの設計は、水の侵入を容易にしてしまうという欠点を浮き彫りにしています。床下換気口は、床にこもる湿気対策のため、建物の基礎部分にうがたれるもので、雨が降ると水が溜まりやすく、雨水が入りやすくなります。またバルコニーは、普段、鉢植えや荷物などを置いたり、排水口の詰まりによって室内に浸水が起こります。
浸水対策
設計上で、デザイン性を重視しすぎず、浸水に備えた強い設計になるように施工主と
バルコニーの排水口は、ゴミなどが溜まり、詰まりやすいため、こまめな掃除といったメンテナンスを行うましょう。床下換気口には、換気口をふさぐための止水カバーをつけることもできます。しかし、これを常時つけておくと、湿気がたまり、白アリの発生など悪影響を及ぼします。最近では最初から床下換気口がない基礎と土台の間に樹脂製や金属製の基礎パッキンを敷きこむ基礎パッキン工法があります。それですと床下の換気が可能になります。
窓ガラス被害
強風によって飛来物が窓を破壊
雨桶が壊れ、外壁や窓から雨漏り
窓ガラス被害の原因
平均風速20m/s以上になると、看板の落下や屋根瓦、屋根葺材が飛ぶなど被害が出始めます。強い台風では飛来物で窓ガラスが割れる危険性が高くなります。ガラス破片でケガをしたり、雨が吹き込んで腐食やカビが発生し高額な修理費が必要になることもあります。また割れた窓ガラスから暴風が室内へ一気に流れ込み、家の屋根が吹き上がってしまうという被害もあります。
また雨桶は、配管を接手と金具で簡単に固定しているだけで強い力が加わるとすぐに破損します。そうなると窓ガラスや外壁に雨水がかかり汚損の原因になります。
窓ガラス対策
窓ガラスを守るためにシャッターや雨戸を取り付けることがよいです。寝室やリビングなどに計画されがちな大きなサッシにはシャッターをつけます。吹き抜けなどの高い位置の大きなサッシには、電動シャッターという方法もあります。また近年、ハウスメーカーのデザイン重視の建築が増えて、シャッターの採用率が非常に少なくなってきましたが、あらためて積極的なシャッターの計画を再考しなければならないです。大型の台風が来て、飛散物でガラスが割れる被害が多く発生すると、サッシ業者にはガラス交換の依頼が殺到しなかなか修理できるまでに時間がかかります。割れたガラス窓を段ボールやテープで塞ぐ手もありますが、冬場は寒さに凍え、夏場は暑さや虫の襲来に悩まされます。そこでシャッターがつかない形状の窓や小さな窓ガラスなら、ガラスに飛散防止フィルムを貼ったり、「網入りガラス」や「防犯ガラス」を取り付けるとよいです。たとえ飛散物がぶつかり、ガラスが割れてしまっても原型は留めていますので、修理までに時間がかかっても何とかしのげます。ただ「網入りガラス」や「防犯ガラス」は強度が高いわけではなく、強風で固いものがと飛んでくれば、割れてしまいます。そこでごく小さな窓を除き、すべての窓に雨戸をつけることが、最善策です。
屋根被害
屋根からの雨漏り
・片流れ屋根(屋根が一方向だけ傾いている屋根)から雨漏り
・陸屋根(ほとんど勾配がなく、平たい形状)から雨漏り
屋根瓦が吹き飛ばされる
屋根被害の原因1、雨漏り
屋根の形状によって、片流れ屋根と陸屋根は比較的雨漏りのリスクが高いといわれています。片流れ屋根は、雨が一方向に流れることから、雨桶への負担が大きくなり、軒がないほうの外壁が劣化しやすい傾向があります。
太陽光発電パネルを設置しやすいことでも人気で、それがかえって雨漏りの引き起こす原因にもなりえます。
陸屋根は見た目のシンプルさや屋上が使えることから人気が集まっていますが、傾斜がない分、水が長期間滞留しやすく、傷みやすいというデメリットがあります。また屋根に天窓をつけることも、屋根の一部に穴を開けて設置することになるので部材の劣化するスピードが早くなります。
屋根被害の原因2、飛ばされる
屋根が飛ばされる理由として、建築基準法や、メーカーが保証している基準の風速を超える想定外の風を除
き、屋根の下地材を受けている垂木という部材が建物に十分に緊結されていなかったり、正しい施工基準に基づいた屋根材の施工がなされていないことがあります。また元々、屋根の下地材(野地板)が腐朽していて釘の保持力が低下しているということもあります。築年数の古い一戸建て住宅で損傷しやすいのが屋根です。屋根が強風で吹き飛ばされ、損傷部分をブルーシートで覆っている光景を何度もテレビで見たことがあると思います。そのため「屋根瓦=風害に弱い」というイメージが強いかもしれません。瓦はきちんと固定してないと強風で飛びやすく、吹き飛ばされると周辺の建物を傷つける2次被害も発生します。
屋根対策 1、雨漏り
屋根の上は、目が届きづらい場所なので、排水口が詰まって雨漏りするケースも非常に多いです。様々な屋根がある中で、寄棟屋根、切妻屋根は、雨漏りのリスクが低い構造をしています。寄棟屋根は、頂点から4方向に傾斜する屋根です。様々な建物に対応できる形状となっています。また切妻屋根は、その形状の関係上、室内の構造が三角になります。古くからある屋根の形状で、伊勢神宮や出雲大社などの建物の屋根もこの形状で作られています。いずれも傾斜が幾方向にあり、雨が分散して流れるため、雨漏りしにくい構造になっています。
屋根対策 2、屋根が飛ばされないために
屋根が強風でも飛ばされないためには、垂木をしっかりと建物の構造体に緊結し、下地材が腐らないように計画し、正しい施工手順で屋根を葺くことで実現していきます。屋根材は、どんな屋根材でも、その屋根材に合った正しい施工をしていれば、そう簡単に被害にあうことはありません。ただ、職人さんの経験不足からくる施工知識の乏しさや手抜きなど施工にあたる職人さんの技量がとわれます。
また屋根の下地材の状態は外から見えないことが厄介です。仮に相当傷んでいても、屋根の上をよく歩いて見ない限り、下地材の腐朽を疑うことは難しいです。しかしながら下地材が腐朽していると、たとえ正しい施工で屋根材が葺かれていても、釘やビスの保持力がなくなり台風などの強風で屋根材が飛ばされてしまうのです。屋根の下地材が腐朽してしまう理由には、直接的な雨漏りによる腐朽と通気不足による結露からくる腐朽という2つ原因があります。
直接的な雨漏りによる下地の腐朽を防ぐ方法
屋根の大きな役割である防水については、屋根の仕上材と防水紙の2つが担っています。屋根材の裏にもし雨水が回り込んでも、下地の上に貼ってある防水が最後の砦となって雨漏りを防ぎます。ですから、「防水紙」が非常に重要な役割を担っているのです。雨水がこの防水紙を突破し下地材に到達すると、雨漏りしてしまうだけでなく急速に腐り始め、屋根の仕上げ材の固定も弱くなり台風で被害を受けてしまうことになります。屋根の勾配や工法によって性能とコストのバランスをよく考えて最適解の防水紙を選択したいものです。
通気不足による結露からくる腐朽を防ぐ方法
屋根の裏側(下側)には小屋裏と呼ばれる空間があります。通常デッドスペースになっていて、普段目にすることがない空間ですが、建物で一番高い部分の空間なので、常に温度が高く湿度も高い空間です。季節によって結露し下地材を腐らせますので、十分通気させることで結露を防ぐ必要があります。建物完成後、数ヶ月で結露により下地材が腐ってしまった例は多々あります。この対策は、建物の設計・施工の問題ですので、設計の段階でしっかりと計画することが大大切です。
構造金物
屋根の仕上材だけでなく、屋根の下地材も飛ばされてしまいます。強風時には、屋根面に非常に強い風圧がかかりますので、その力に耐えうる構造でなければなりません。屋根の下地材を留めている垂木という部材がありますが、この垂木が建物としっかり緊結されていることが必要です。緊結には、通常「ひねり金物」や「くら金物」、最近では「タルキック」等という金物が使われます。構造金物の中では非常に地味な金物ですが、しっかりとした施工管理が必要です。
近年では、耐風性能が高い留め付け方の瓦などの屋根葺き材など開発されており、これらの商品を使うことで風によって家が損傷することを防ぐことが可能です。また95年の阪神大震災を機に2001年にガイドライン工法を策定され、それ以降に固定された瓦屋根であれば、安心です。瓦自体は耐久性に優れ、断熱性も高い屋根材なので、瓦全般を避ける必要はありません。
外壁被害
軒、庇のない家の雨漏り、外壁が劣化
※軒とは建物の外壁よりも外側に張り出している屋根の部分、庇は窓や玄関の上などに設けられる小型の屋根。
強風で外壁が壊れた
ブロック塀が風に飛ばされる
外壁被害の原因
最近、ハウスメーカーでは軒のまったくない、箱型の一戸建てや軒があるものの短いものが増えました。そのスマートな外見からデザイン面で人気があります。しかし軒のない住宅は雨漏りや外壁の劣化が起こりやすくなります。また軒がないと直接、太陽光を浴びるため、いわゆる紫外線によって外壁の塗膜を傷つけます。塗膜は汚れや水をはじくバリアのようなもので、傷つけば、外壁の色があせて汚れ、風雨による損害を受けやすくなります。
また、風によって建物に横から力がかかると建物が傾きます。そうすると、外壁も同じように傾こうとするのですが、外壁が変形しにくいもの(例えば、モルタル塗り)や変形に追従できても外壁の留め付け方が十分でないと外壁が損傷するため、そこから雨漏りしたり、場合によっては、その隙間から風が吹き込むことで外壁が飛んで行ってしまいます
さらに、住宅の周囲のフェンスや塀も、風の被害を受けることがあります。特に危ないのが、1つの重量10キロほどのあるブロックを積み重ねた塀です。ブロック塀は中に鉄筋を入れたり、「控え壁」と呼ばれる支えをつけたりして、倒れにくくする工夫がされるようになっています。しかし、古い塀にはそのような措置が施されておらず、ブロックの間をモルタルで固めて積み上げただけのものが大半です。実際に大阪で近年、ブロック塀が倒れて小学生がなくなる事故が起きています。
外壁対策
建物の寿命を延ばすには建物に内部に雨水を侵入させないことが最優先です。外壁をなるべく雨に濡らさないようにすることが重要です。雨の多い日本で外壁をまったく濡らさないようにすることは不可能ですが、濡れる場所を減らすための工夫はできます。昔の日本家屋には必ずあった軒や庇をつければいいのです。軒や庇があっても濡れますが、日常レベルの小雨などでは建物全体が濡れにくくなります。
また、建物の傾き(変形)からくる外壁の損傷を防ぐには、横からの力に強い家=耐風性能・耐震性能が高い家を設計すれば抑えられます。なお、ニュースで台風によって倒壊した住宅は、これらの多くは築年数が古く、上記の耐風性能(=耐震性能)が低いことが原因の場合が大半です。
木造住宅は風水害に弱いのか
一戸建ての構造を大きく分けると、建材に木材を用いた木造住宅、柱や梁などに鉄骨を用いた鉄骨住宅、柱や梁、床、壁が鉄筋とコンクリートで構成されている鉄筋コンクリート造(RC造)住宅の3種類になります。河川が氾濫すると、決まって古い一戸建ての住宅が倒壊したり、濁流にながされたりする映像がニュースで流れます。致命的な被害を受けた住宅のほとんどは木造住宅です。木造住宅の構造は水に弱く、雨漏りなどが原因で内部が腐食することがあり、基礎や柱がもろくなり、家全体が倒壊したり、河川の越流で流されることもあります。
鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅でも、風水害の被害がないわけではありません。それぞれ風水害に遭いづらく、強い建物を選んだり、メンテナンスを心掛けることが被害を受けるリスクを減らせます。
木造でも台風に強い家の構造とは、木造住宅の強度は、鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートにはやや劣る反面、吸湿性や断熱性に優れています。木造住宅には、夏季高温多湿となる日本の風土に合うというメリットもあるのです。また、木造であっても上述したポイントをおさえた住宅構造であれば、木造であっても台風に対して強さを持っています。木造であっても耐久性に優れた家は多いです。「木造だから必ず台風に弱い」と一概にはいえない部分もあります。
まとめとおきましょう
台風に強い家づくり |
位置 |
風水害 |
対策 |
床 |
浸水 |
人為的な低地を避ける設計 |
換気口/バルコニー |
浸水 |
排水口の掃除などのメンテナンス |
窓 |
ガラスの破損 |
サッシ、雨戸の設置 |
屋根 |
雨漏り |
風水害に強い屋根の形状を選ぶ |
|
飛ばされる |
風に強い留め付方法や屋根材を使う |
外壁 |
雨漏り 劣化 |
軒や庇の設置 |
塀 |
飛ばされる |
倒れにくい支えや工夫 |
おわりに
私たちの大切な財産である住まいを台風で失いたくはありません。これから土地を購入して家を建てようとしている方や、現在お住まい方に、地域のハザードマップを確認することをおすすめします。地区のサイトでハザードマップや地盤サポートマップなどを見ることができます。その土地の標高、地形、地質、避難所の場所、浸水の可能性、地震時の揺れやすさ、液状化の可能性、土砂災害の可能性など、客観的にその土地の特性を知ることができます。毎年、他の地域で起こる災害を見て、いたずらに不安になるだけでなく、ハザードマップの活用で地域の特性を知り、日頃からの防災への意識を高め、非常食や防災用品等、準備するように心がけましょう。備えあれば憂いなし。私たち工務店は、台風に強い家づくりによって、皆様の安心、安全な暮らしをサポートしていきます。
参考文献
「大震災・大災害に強い家づくり、家選び」井上恵子著(朝日新聞出版 2011年10月刊)
「マンガでよむ安心安全な最強住宅」早川義行監修(東京経済 2005年7月刊)
「災害に強い住宅選び」長嶋修/さくら事務所(日本経済新聞社 2020年5月刊)
HP
千癒の家(株)わいけい住宅代表の中山です。 家は人生で一番長く家族といる空間です。
ご家庭の暮らしがあり、そして上質でより豊かな『暮らしを楽しむ』家には本物の住宅環境がなくてはなりません。個性ある暮らし方にマッチした健康快適環境設計をすることでご家族皆様が『暮らしを楽しみ実用的な快適な』家が実現するのです。プロの設計と匠の技で、手間ひまを惜しまずお客さまにお届けします。
新潟で健康住宅No,1になるために、日々勉強しお客様に還元できるように努力しています。